ローンは低金利の方が良い、と漠然と思っている方は多いことでしょう。しかし実際のところ、低金利のローンは審査基準が厳しく、収入の少ない方やすでに複数社からお金を借りているような方はなかなか審査に通らないことも事実です。
金利は1%でも低い方が良いことは事実ですが、返済期間によっては1%程度の金利の違いでは利息額がそれほど違わない場合もあります。1ヶ月借りた場合と、1年間借りた場合で、利息の額の差は大きく変わってくるのです。具体的に計算して、利息額を比較してみましょう。
■80万円を借りた場合、期間によって利息額はどう変わる?
比較を行うために、今回は80万円を借りた場合で考えていくことにします。借りたと仮定する金融機関は以下の3社です。
・年利18.0%の消費者金融会社:A社
・年利17.0%の信販系金融会社:B社
・年利15.0%の銀行系カードローン会社:C社
この3社で80万円を借りたと仮定して、実際に利息がどの程度の金額になるかを比較してみましょう。
80万円の場合 | |||
期間 | A社の利息額 | B社の利息額 | C社の利息額 |
1ヶ月 | 12,000円 | 11,333円 | 10,000円 |
1年間 | 80,128円 | 75,566円 | 66,480円 |
5年間 | 418,885円 | 392,924円 | 341,917円 |
1ヶ月間の短期間で返済する場合には、金利が1%違うA社とB社では667円、金利が3%違うA社とC社の間でも2,000円と、利息の差額は小さなものとなっています。しかし1年間で返済する場合には、A社とB社では4,562円、A社とC社では13,648円とその差額が大きなものとなります。
さらに5年間で返済した場合には、A社とB社では25,961円の違いが生じます。A社とC社の間では、5年間で76,968円の違いが生じてきます。5年間の場合では1年あたり2万円近い差が生じており、かなり負担感に差が生じる結果となります。
■50万円、30万円でも調べてみよう!
より少ない金額で借り入れを行う際には、利息の違いはどの程度生じてくるのでしょうか。先ほどの3社から50万円を借り入れた場合、1ヶ月、1年間、5年間でどの程度の差が生じるか見てみることにしましょう。
50万円を1ヶ月で返済し終えた場合の利息を計算します。
・A社の場合(年利18.0%)
500,000×0.18÷365×30≒7,397 1ヶ月分の利息7,397円
・B社の場合(年利17.0%)
500,000×0.17÷365×30≒6,986 1ヶ月分の利息6,986円
・C社の場合(年利15.0%)
500,000×0.15÷365×30≒6,164 1ヶ月分の利息6,164円
金利が1%低いA社とB社では、1ヶ月間で411円しか利息が違いません。金利が3%違うA社とC社の間でも、1ヶ月間で1,233円しか利息が違わないため、短期間で返済してしまう場合には金利の違いはそれほど大きくないことがわかります。
次に、50万円を1年間で返済し終えた場合の利息を計算します。
・A社の場合(年利18.0%)
毎月の返済額:45,840円
利息総額:50,080円
・B社の場合(年利17.0%)
毎月の返済額:45,602円
利息総額:47,229円
・C社の場合(年利15.0%)
毎月の返済額:45,129円
利息総額:41,550円
最後に、50万円を5年間で返済し終えた場合の利息を計算します。
・A社の場合(年利18.0%)
毎月の返済額:12,697円
利息総額:261,803円
・B社の場合(年利17.0%)
毎月の返済額:12,426円
利息総額:245,577円
・C社の場合(年利15.0%)
毎月の返済額:11,895円
利息総額:213,698円
金利が1%低いA社とB社では、1年間で2,851円しか利息が違いません。しかし、金利が3%違うA社とC社の間では、1年間で8,530円の違いが生じてきます。1%程度ではあまり差がありませんが、3%金利が違ってくると利息の差額も少しずつ大きくなります。
金利が1%低いA社とB社では、5年間で16,226円の違いが生じます。金利が3%違うA社とC社の間では、5年間で48,105円の違いが生じてきます。これだけの期間になると金利が1%違うだけでもかなり違いが生まれてきますので、少しでも金利の低いローンを選ぶ必要も出てくるでしょう。
50万円の場合 | |||
期間 | A社の利息額 | B社の利息額 | C社の利息額 |
1ヶ月 | 7,500円 | 7,083円 | 6,250円 |
1年間 | 50,080円 | 47,229円 | 41,550円 |
5年間 | 261,803円 | 245,577円 | 213,698円 |
しかし5年間で返済した場合には、A社とB社では16,226円の違いが生じます。A社とC社の間では、5年間で48,105円の違いが生じてきます。返済期間が長くなる場合には、1%の違いでも比較的利息の違いが大きくなっていくことが分かります。
では、前項の3社から30万円を借りた場合でも調べてみましょう。
30万円の場合 | |||
期間 | A社の利息額 | B社の利息額 | C社の利息額 |
1ヶ月 | 4,500円 | 4,250円 | 3,750円 |
1年間 | 30,048円 | 28,337円 | 24,930円 |
5年間 | 157,082円 | 147,346円 | 128,219円 |
1ヶ月間で完済した場合には3社の利息の差額は1,000円以下の微々たるものです。しかし返済期間が5年間など長期にわたると、1%でも1万円近い差額が、3%の場合は3万円近い差額がそれぞれ生じてきています。
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■もっと低い金額ならどうなる?10万円の場合には?
より小さな金額ではどうなるでしょうか。前項と同じ金利18%のA社、17%のB社、15%のC社で、それぞれ10万円を借りたと仮定して考えてみましょう。今回は1ヶ月、6ヶ月、1年間の期間で比べてみます。
1ヶ月で10万円を返済した場合を見てみましょう。
・A社の場合(年利18.0%)
100,000×0.18÷365×30≒1,479 1ヶ月分の利息1,479円
・B社の場合(年利17.0%)
100,000×0.17÷365×30≒1,397 1ヶ月分の利息1,397円
・C社の場合(年利15.0%)
100,000×0.15÷365×30≒1,233 1ヶ月分の利息1,233円
1%の違いでも3%の違いでも、それぞれ支払う利息の差額は微々たるものです。
次に、10万円を6ヶ月間で返済した場合を見てみます。
・A社の場合(年利18.0%)
毎月の返済額:17,553円
利息総額:5,315円
・B社の場合(年利17.0%)
毎月の返済額:17,503円
利息総額:5,016円
・C社の場合(年利15.0%)
毎月の返済額:17,403円
利息総額:4,420円
先ほどよりは差額が生まれましたが、それでも1,000円以内の小さな差に収まっています。
最後に、10万円を1年間で返済した場合を見てみます。
・A社の場合(年利18.0%)
毎月の返済額:9,168円
利息総額:10,016円
・B社の場合(年利17.0%)
毎月の返済額:9,120円
利息総額:9,446円
・C社の場合(年利15.0%)
毎月の返済額:9,026円
利息総額:8,310円
金利が1%低いA社とB社では、1年間で570円しか利息が違いません。金利が3%違うA社とC社の間でも、1年間で1,706円の違いしか生じていません。10万円程度の借入の場合には、金利が3%程度違っても、それほど生じる利息額に大きな差は生まれないことが分かりました。
10万円の場合 | |||
期間 | A社の利息額 | B社の利息額 | C社の利息額 |
1ヶ月 | 1,500円 | 1,417円 | 1,250円 |
6ヶ月 | 5,315円 | 5,016円 | 4,420円 |
1年間 | 10,016円 | 9,446円 | 8,310円 |
1ヶ月で完済した場合は、それぞれの金融機関に支払う利息の差額は微々たるものです。6ヶ月の場合でも差額の違いはほとんど生じていません。1年間の場合でも、A社とB社では、1年間で570円しか利息が違わず、A社とC社の間でも、1年間で1,706円の違いしか生じないことが分かります。10万円程度の借入の場合には、金利が3%程度違っても、それほど生じる利息額に大きな差は生まれないことが分かりました。
■金利を表でまとめ
上記で紹介したものを表にまとめるとこんな感じです。
借入額と返済期間でみると、額が小さいとわかりにくいですが、額が大きいとたった1%金利が違うだけで、数万円~数十万円の差が出てきます。
借入額と返済期間に対する利息総額 | ||||
借入額 | 返済期間 | A社 (年利18.0%) |
B社 (年利17.0%) |
C社 (年利15.0%) |
80万円 | 1ヶ月 | 12,000円 | 11,333円 | 10,000円 |
1年間 | 80,128円 | 75,566円 | 66,480円 | |
5年間 | 418,885円 | 392,924円 | 341,917円 | |
50万円 | 1ヶ月 | 7,397円 | 6,986円 | 6,164円 |
1年間 | 50,080円 | 47,229円 | 41,550円 | |
5年間 | 261,803円 | 245,577円 | 213,698円 | |
30万円
|
1ヶ月 | 4,500円 | 4,250円 | 3,750円 |
1年間 | 30,048円 | 28,337円 | 24,930円 | |
5年間 | 157,082円 | 147,346円 | 128,219円 | |
10万円 | 1ヶ月 | 1,479円 | 1,397円 | 1,233円 |
6ヶ月間 | 5,315円 | 5,016円 | 4,420円 | |
1年間 | 10,016円 | 9,446円 | 8,310円 |
■借り入れる金額と返済期間で、計画的に借入先を選ぼう!
このように、50万円などの比較的大きな金額を借り入れ、かつ5年間などの長い期間で返済を行う場合には金利の高低が大きな問題となってきます。しかし、10万円程度の比較的小さめの金額を借りた場合には金利の違いは印象ほど利息額に違いをもたらさないことが分かります。
また、50万円などの大きな金額を借りた場合でも、1年間程度で返済することができればそれほど大きな差額を生み出さないことも分かります。ローンを選択する場合には、金利よりもまず「どのくらいの金額をどのくらいの期間で返すか」という部分を考えて、借入先を選択する必要があるでしょう。
■まとめ
金利が低いローンは、当然審査基準も厳しくなります。収入や借入の状況などから、金利の低いローンでは審査に通らない方も当然出てくるでしょう。
しかし金利が比較的高いローンの審査しか通らなかった場合でも、借入額を抑えたり返済期間を短くしたりすることで、十分に利息額を抑えることは可能なのです。
ローンを選ぶ際には、まずは自分が「どのくらいの金額をどのくらいの期間で返すか」という部分をしっかり考える必要があるでしょう。