お金が足りないとき、カードローンやキャッシングでお金を借りてその場をしのごう、と考えている人も少なくありません。
ただし、カードローンやキャッシングには審査が欠かせず、審査に通らなければお金を借りることができません。
生活が苦しいのにそれが理由でカードローンの審査に通らない方は、公的な支援制度を利用するのも手です。
そこで今回は、「生活福祉資金貸付制度」について紹介します。
■生活福祉資金貸付制度の概要
▲生活福祉資金貸付制度とは?
「生活福祉資金貸付制度」とは、都道府県社会福祉協議会が実施する支援制度です。
社会福祉協議会は半官半民の組織なので、税金で活動資金の多くが賄われています。
各自治体が、一定条件を満たす人に倒してお金を貸し付けます。
概要は以下のようになっています。
・金利:年1.5%(連帯保証人がいれば無利子)
・貸付額:数万円程度から最高で580万円
・借入までの期間:最低でも1か月
▲生活福祉資金貸付制度はどんな人が利用できる?
融資条件としてはかなり好条件な生活福祉資金貸付制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。
最低でも、以下の条件をすべて満たしていないといけないのです。
①生活福祉資金貸付制度を申し込む都道府県に居住
(住民票のある都道府県に生活福祉資金貸付制度がある)
②他の人の生活福祉資金貸付制度において連帯保証人になっていない
③他の公的支援制度が利用不可
(生活保護、失業保険、奨学金、母子寡婦福祉資金、高額療養費制度など)
④借りたお金の返済のめどがある
(職員が判断をする)
⑤所得が低い世帯である
(単身世帯では月収191000円以下、4人世帯では月385000円以下、一部例外あり)
▲生活福祉資金貸付制度の種類
一口に「生活福祉資金貸付制度」と言っても、以下のように3種類の貸付が存在します。
・総合支援資金:生活再建が目的
・福祉資金:一時的に必要な資金や生活費が目的
・教育支援資金:高校や大学などの学費が目的
・不動産担保型生活支援資金:不動産を担保にして生活資金を借りることが目的
生活福祉資金貸付制度の種類によって、各種条件や流れが異なります。
▲総合支援資金の場合
総合支援資金は、利用目的によってさらに3種類に分かれます。
・生活支援費:生活再建が目的、単身世帯は最高月15万円、2人以上世帯は最高月20万円
・住宅入居費:賃貸契約締結が目的、最高40万円
・一時生活再建費:生活再建のため一時的費用が目的、最高60万円
生活福祉資金貸付制度共通の条件に加えて、総合支援資金では以下のような条件も加わります。
・現在失業中
・申請時65歳未満
・生活保護を受けていない
・公的年金をもらっていない
・自営業者、会社経営者でない
▲福祉資金
福祉資金も、さらに2種類に分けることができます。
・福祉費:様々な利用目的、利用目的に応じて最高280万円
・緊急小口資金:緊急性が高い場合、最高10万円
▲教育支援資金
教育支援資金も、さらに2種類に分けることができます。
・教育支援費:高校、大学などの授業料、最高月65000円
・就学支援費:高校、大学などの入学金など、最高50万円
■生活福祉資金貸付制度のメリット
①低金利である
一般の消費者金融の金利が年18%程度、銀行のカードローンでも年15%程度の金利が最高でかかる中で、生活福祉資金貸付制度の金利は年1.5%です。
さらに、連帯保証人を立てられれば利息を支払う必要はありません。
②セーフティーネットからこぼれ落ちた人が救済される
日本には、生活困窮者を救うために、以下のような様々な支援制度があります。
・生活保護:生活困窮世帯に必要最低限な生活を保護する
・失業保険:失業者に一定のお金を支給
・高額療養費制度:1か月に支払った医療費が一定金額を超えると、超過分を返還
・奨学金:無金利もしくは低金利で学費を融資
・母子寡婦福祉資金:母子家庭や父子家庭にお金を低金利もしくは無金利で融資
以上の公的支援制度を利用できないとき、次のセーフティーネットとして「生活福祉資金貸付制度」があるのです。
■生活福祉資金貸付制度の注意点
①レシートや明細書は取っておくこと
生活福祉資金貸付制度を利用する際には、所得が低いことが条件です。
所得の計算方法は、収入から「生活に必要な定期的支出」を差し引いた金額です。
生活に必要な定期的支出は、家賃や食費、医療費や光熱費などが挙げられますが、それを証明するレシートや明細書は保管しておきましょう。
さもないと、ギャンブルなどにお金を使っていると思われかねず、審査に通りにくくなります。
②借金がある場合
借金があっても生活福祉資金貸付制度を利用することはできます。
ただし、借金の借り換えとして生活福祉資金貸付制度を利用することはできません。
まずは債務整理をするようにすすめられます。
③すでに生活保護を受けている場合
すでに生活保護を受けていても、生活福祉資金貸付制度を利用できます。
ただし、総合支援資金は利用できませんし、利用できたとしても貸付金額は10万円以下となるでしょう。
■まとめ
いかがでしょうか?
多重のセーフティーネットの一つとして、生活福祉資金貸付制度が存在します。
条件が若干複雑ですので、不明点がある場合にはお住いの社会福祉協議会や地域の民生委員に相談してみましょう。